関西大学は、勤労学生の減少にともない 2003(平成 15)年に第 2 部(夜間)を廃止し、昼夜講義制に移行した。それにより、第 1 部と第 2 部の美術部を統合する必要が生じ、2007(平成 19)年に、「美術部」という大きなくくりの下に白鷲会パートと絵画造形パートが共存することとなった。
だが、この大きな組織の変動に動揺することなく、部員たちは表現者としてのさらなる自己研鑚に努めた。この年、展覧会出品作品の質的向上を目的にした「中間合評」が立ち上がり、翌年から始まった画力や表現力向上のための勉強会(3 と 7が付く日に実施したことから「三七会」と称した)は、現在もデッサン会として引き継がれている。

三七会の様子 2010 年(個人提供)
1990 年代後半から、回生展や新人展は吹田文化会館メイシアターを使用してきたが、他の利用者の増加にともない年々確保が難しくなったことから、このころからキャナル長堀、摂津市民文化ホール 1F 展示室、茶臼山画廊、イロリムラなど、大阪市内やその周辺の画廊で開催することが多くなった。
2000 年代に入ると、少子化による「大学全入」時代が到来する。大学は公立・私立を問わず厳しい経営競争にさらされ、社会における存在意義をアピールするために、大学が立地する地域との連携や協働に力を入れるようになった。関西大学でも、キャンパスを擁する吹田市、高槻市、堺市でさまざまな事業を展開するだけでなく、学生にも地域貢献を積極的に奨励し、優れた活動を支援した。
美術部は、2009(平成 21)年に、高槻市商店街のイベント、アート de わくわくストリート(現・高槻アート博覧会)に参加し、大型絵画を出品しただけでなく、ライブ・ペインティングを行って注目されたが、この活動は関西大学からも高く評価され、文化・学術活動等奨励金制度の業績部門で表彰された。

高槻アート博覧会でのライブ・ペインティング 2011 年(個人提供)
また、2011(平成 23)年の「KU コアラ」(学生が学生の活動を支援する組織「ピア・コミュニティ」のひとつ)との協働による総合図書館での「コアラ☆ミュージアム」開催や、同年の校友会西宮支部総会でのライブ・ペインティング実施、2013(平成 25)年の梅田イロリムラでの関関同立展など、美術部の活動は、大学内外のさまざまな団体、人たちとの関わりのなかで、かつてない拡がりを見せた。

コアラ☆ミュージアム 2011 年(個人提供)