2020(令和 2)年、世界を揺るがす出来事が起こる。いわゆるコロナ禍である。2019(令和元)年 11 月に中国武漢市で発生した新型コロナウィルスによる感染症(COVID-19)は、年が明けるや瞬く間に世界中に拡大し、数百万人ともいわれる死者を出すとともに、国際的な規模での移動制限、生産・流通の停滞、社会的・経済的なパニックを引き起こした。日本もまた例外ではなく、関西大学では 3 月の卒業式、4 月の入学式が中止となり、授業は対面ではなくオンラインで行われ、対面での部活動が停止を余儀なくされた。
この時、美術部の活動を救ったのがインターネットであった。展覧会を開催できなくなった美術部員は、その代替として 2020(令和 2)年 8 月の有志展、12 月の白鷲会展、2021(令和 3)年 3 月の卒展、5 月の回生展、7 月の新人展をインターネット上の特設サイトで開催、またビデオ会議アプリケーションの Zoom を使った作品の合評会や神戸大学など他学との交流会、動画共有サイト You Tube を使ったクロッキー会やデッサン会などを行った。

Zoom を使った作品の合評会 2020 年(美術部白鷲会提供)
結局この不自由な期間は 1 年半以上続いたが、国内の感染状況が小康を得た2021(令和 3)年 11 月、ようやく白鷲会展を 2019(令和元)年から会場にした大阪府立江之子島文化芸術創造センターで再開し、2 年ぶりに実作を披露することができた。
2022(令和 4)年 4 月、新型コロナウィルス感染拡大の一応の収束にともない、感染状況に応じてオンライン授業と対面授業を繰り返してきた関西大学は、2 年ぶりに全面的に対面授業を復活させた。一時は廃墟のように閑散としたキャンパスに、ようやく平時の賑わいが戻ってきた。
抑圧された環境から解き放たれたこともあって、この年、美術部員は70名を超え、全員が部室に収まらないため、総会やイベントをオンライン上で行うなど、コロナ禍でやむを得ず培ったスキルが、いまも思わぬ形で役立っている。一方でコロナ禍後は、対面で活動できることの意味をかみしめるかのように、大人数が収容できる大学の施設を借り、クロッキー会やデッサン会を精力的に行っている。
また、コロナ禍直前に大阪府立江之子島文化芸術創造センターへと会場を替えた白鷲会展であったが、120 号の作品を並べるには手狭であったことや同センターの貸し出し規定の改定などもあり、2023(令和 5)年から再びシーサイド・ギャラリー CASO と名を変えた以前の会場に戻った。

有鄰館一階の多目的ホールでのクロッキー会 2022 年(美術部白鷲会提供)

大阪府立江之子島文化芸術創造センターでの白鷲会展にて 2022 年(美術部白鷲会提供)